「無難」を捨てた朝ーカンヌ階段顛末記
皆で一緒にレッドカーペットを歩きます

「レッドカーペットを皆で歩くらしいです」
プロデューサーの松田さんからの来たメールの添付書類にそんな文言を見つけたのが、カンヌ渡航5日前。5月7日の朝である。
これは一体?
「皆で歩くと書いてありますが、「皆」とは、監督と俳優さんのことですよね?」と確認のメールを送ると、その「皆」には私も入っていることが判明。
状況がわからず混乱してきたので、「階段を上がるメンバーというのは、”カンヌ映画祭”と検索するとヒットするような、赤絨毯の上にいる写真のメンバーを指すのでしょうか」と、なんだか長ったらしい質問をいまいちど送ると、その通りであるとのお返事。
カンヌ映画祭にご招待いただけるとわかったのが4月の下旬。それだけでもフワフワした気持ちでいたのに、まさかあの赤い絨毯の上を、1週間後に私が歩くことになるとは完全に想定外である。
しかも最初は、「映画祭に行ったところで、監督・俳優の皆さんがレッドカーペットを歩くところも見られるかわからない」と言われていたのだ。これはあまりの急展開。
一体どういうふうにふるまって、どんな格好をすればいいんだろう。私は普段は、リュックを背負い、スニーカーを履いて街を歩いている人間である。
しかも喫緊の撮影はボクシングジムで、その写真が掲載されたのはトレーニング雑誌「Tarzan」。もと運動生理学専攻の私にとってかなりの誉であったものの、レッドカーペットとは距離がありすぎる。
検索をすると現れる天上界の人々
とりあえず「カンヌ、レッドカーペット」で検索をする。
セリーヌ・ディオンとか出てきてしまうので、話にならない。
次に「カンヌ映画祭、日本人」で検索してみる。そこに出てくるのも当然ながら、名だたる方ばかり。全く参考にならない。
原作者で近年レッドカーペットを歩いた人はいるのかと聞いたら、もらった返事は、カズオ・イシグロ。そんな天上人を出さないで…。
仕方ないので「カンヌ映画祭、一般人」で検索。
どうやって入場できるか、みたいな情報は出てくるけど、私は入場カードはもらえるのである。それ以外は、海辺の楽しみ方とか…。
置かれた状況が状況なだけに検索が機能しない。
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