子どもの気持ちと納得感を大切にする子育ての弱点?|森本あんりさん書評

20世紀後半、イギリスの社会学者バジル・バーンステインは、子育ての言葉には二つのタイプがあることを発見しました。その上でバーンステインは、子どもの気持ちと納得感を大切にする子育てには、弱点もあるというのです。
磯野真穂 2026.10.17
誰でも
『週刊新潮』より

『週刊新潮』より

子どもの納得感を大切にし、なぜそれをした方がいいのか、しない方がいいのかを説明する。「お母さんは、それをしてくれると嬉しい」「お父さんは、それをされると悲しい」といったアイメッセージを用いる。

このような子育ては、現代社会では正しいとされ、推奨されています。

ところが、このような子育てにも弱点があることを、20世紀半ばに指摘した社会学者がいました。イギリスのバジル・バーンステインです。バーンステインは、子どもの気持ちと納得感を大切にする子育ての中に、人々を疎外し、競争を加速させる社会の萌芽をみてとりました。そして、バーンステインの理論を大胆に拡張したのが、メアリ・ダグラスです。

森本あんりさんが『週刊新潮』に寄せて下さった書評のタイトルは

「つべこべ言わずにやれ!」と言えなくなった大人たち

少しドキッとしますが、バーンステインの理論の根幹を、端的にまとめてくださっています。

バーンステインはいいます。大人たちが「つべこべ言わずにやれ!」と言えなくなったのは、人間がやさしくなったからではない。社会の構成のされ方が変わったからなのだと。そしてその変化は、大人が子どもに向けて使う言葉の中に現れるのだと。

今では正しいとされる子育てに潜む危険性とは何なのか。

ご関心ある方は、『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学』(新潮選書)の第4章をお読みください。

LINKS

無料で「磯野真穂のANTHRO NOTES|思考の手帖と執筆の舞台裏」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

読者限定
初めての院生さんがやってきた|いそのゼミ
サポートメンバー限定
本棚を色で分けることの利点
読者限定
一緒に喜んでくれる人がいるということ|AI時代に他者と働くことの意味と...
誰でも
鷲田清一さん書評「修復という眼差し」|『社会が壊れるその前に メアリ・...
サポートメンバー限定
自然科学系専攻の東京科学大生に、超難解な人類学のテキストを配布したら起...
読者限定
「能力資本主義」とは何か|『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人...
誰でも
松田広子さんが、サン・セバスティアン国際映画祭でプロデューサー賞を受賞...
読者限定
同窓会に来れる人、来れない人|いその、婚姻届の証人になり、シャクティマ...