自然科学系専攻の東京科学大生に、超難解な人類学のテキストを配布したら起こったこと

実際に配布したマルセル・モースの文章はこちら。
読者の皆さん、こんばんは。
唐突ですが、もし自然科学専攻の学生たちに、一文がとっても長く、加えてそこに抽象概念がこれでもかと詰め込まれた人類学のテキストを差し出したら、一体どんな反応が起こると思いますか?
私は今年、必修選択で文化人類学を選択した学部生に、フランスの人類学者マルセル・モースが記した『社会学と人類学』の第5章を配布しました。
章タイトルは、「人間精神の一つの範疇・人格の概念、《自我》の概念」
今期は授業のテーマを「自分らしさ」「個性」にしていたことが配布の理由。とはいえ、この抽象的なタイトルを見るだけで、ちょっとクラクラしませんか?
はっきりいって、これはめちゃくちゃ難しい文章です。人文社会科学に関心があって、この領域の言葉に慣れている人でも、初見で理解できるとかはおそらくあり得ない。文化人類学専攻修士1年とかでもたぶん無理。
国語は苦手というけれど
モースを学部生に配布するのは結構な賭けでした。というのも、難解すぎて、人文社会科学を必ずしも快く感じていない学生たちの印象を、より悪くしてしまう可能性もあったからです。
でも一方で「意外と読めちゃうんじゃない?」という思いもありました。
なぜそう思ったのかー
理数系が得意なかれらは、「国語が苦手」といったことをよく言います。しかしかれらと関わる中で、とてもそうとは思えない場面に何度も遭遇してきました。苦手どころか、洞察の深さや、視点の面白さにこちらが目を開かされることもしばしばです。