鷲田清一さん書評「修復という眼差し」|『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学』(新潮選書)

哲学者の鷲田清一さんが雑誌「新潮」11月号に書評を書いてくださいました。鷲田さんにご紹介いただくのは、昨年10月の朝日新聞「折々のことば」以来2回目です。
磯野真穂 2026.10.08
誰でも

摂食障害やコロナ禍、さらには宮野さんとの書簡のやり取りを経た私が、なぜ今回、メアリ・ダグラスを通して社会そのものを問う本を書いているのか。

これらのつながりを指摘した上で、本書の核心を鷲田さんは次のように表現くださっています。

磯野はこうした局面で、ダグラスのいうところの「実践的な思いやり」に共鳴する。つまり、社会の石化のなかで抑圧に晒されてきた人びとのその傷を「修復」するというスタンスである。破壊へとなだれ込む人たちからは傍観的だとか、体制の補完でしかないとかの批判が向けられようが、分類はどこまでも共同社会の土台であることは否定できない。むしろ危ないのは、「純化」という、分類にともなう他者の排斥への屈折した欲望の膨張である。人びとにとって不可欠な他者との繋がりを支えるものが、翻って人びとを損ない、窒息させる。その矛盾こそが社会生成の底にあるかぎりは、その矛盾を引き受けつつ、決定的な傷とならないうちに「修復」しようというのである。

鷲田清一 雑誌「新潮」11月号

それだけでなく、書評の始まりと終わりを『急に具合が悪くなる』(晶文社)で挟み込んでくださいました。

このニュースレターには、私の過去の著作を読んでくださっている方も多いと思います。ぜひ本書を通して、これまでの著作とのつながりを感じ取っていただけたら嬉しいです。

新刊情報

第一弾刊行記念

「新潮」11月号

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