一緒に喜んでくれる人がいるということ|AI時代に他者と働くことの意味とは

先日とあるポッドキャストの収録で、イベント設計など、かつて人間がやっていた大抵のことはAIに代替できる、という話を聞きました。そうであるならば、人と働くことの意味や価値って何でしょうか?
磯野真穂 2026.10.11
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AIに指示をすれば、自分が過去に行ったイベントを踏まえ、内容・進行設計から、告知案、宣材素材まで作ってくれる。もう人がいらなくなった。だとするのなら、「人と働くことの意味」って何?

そんな話を、あるポッドキャストの収録でしました。

私にとって、大切な働く場所の一つは授業(教室)です。そこで私は、AIが登場しづらい設計を日々試行錯誤しながら考え、実践しています。なので、「そうか、もう時代はそこまで来ているのか」と思いつつも、何か割り切れない数日を過ごしておりました。

そんな折、新刊『社会が壊れるその前に』の担当編集である三辺さんから「発売一週間で重版が決まりました!」とのお知らせが届きます。それに続く形で本書のプロモーションを担当している金子さんからもお祝いの言葉が届きました。

日本には、「お金儲けは汚らしいこと」というイメージがあるので、プロモーションと聞くと、途端にいやな感じを抱く人がいるかもしれません。

でも私は、今回そういう方が伴走に入ってくださったことをとてもありがたく思っています

理由は、本を年間何冊も出すタイプの著者ではないから。私にとって、本は「出したら終わり」ではなく、「出した先」が大切で肝心。だから担当編集者さんの他に、「本を出した後」を考えてくれる人がサポートに入ってくれるのは心強いのです。

何より金子さんは、本の内容に共感してくれ、その上でプロモーション担当を買って出てくれました。三辺さんは言うまでもなく、もう何年お待たせしたことやら…。

そんな経緯もあり、お二人から重版のお祝いが届き、喜んでくれているのを文面から感じたとき、シンプルに思ったのです。

一緒に喜んでくれる人がいるっていいな。

これが人と働く価値なのかもしれないな、と。

もしかしたらお二人がやってくれた仕事だって、「AIにやらせればいい」という人がいるのかもしれません。私はそうは全く思わないけど、そう言い出す人がいても不思議じゃない。

でも、もしそれをやってしまったら、こうやって一緒に喜ぶことはできない。プロンプトを書けばAIは最大限の賛辞を送ってくれるだろう。でも、それってそんなに嬉しい?

属人化叩きの先で人はもっとさみしくなる

AIに仕事をやらせれば、ノイズもなく、スムーズでストレスなく仕事ができる。

でもそうやった先で得られる喜びは、効率的にお金儲けができたとか、フォロワーとか「いいね!」とかが爆増したとか、数に換算できる何かしかないんじゃないだろうか。

加えてその先に待っているのは、「あなたじゃなくてもいい、あなたの代わりは誰でもいる」という、究極的に非属人化された世界。

最近、仕事の属人化はよくないと言われる。でも私は、本当にそうなのかな、と思う。

よくないのは「属人化のされ方」であって、「属人化そのもの」ではないはず。なのに攻撃対象を間違え、属人化そのものを攻撃してしまう。それで一瞬溜飲が下がる人は大勢いるだろう。問題があるのは事実だから。

でも結果としてそのことが、人間全体をもっとさみしくしてしまう。そうであれば、こんな不毛な批判はない。そしてこの問題意識が、新刊『社会が壊れるその前に』には流れている。

でも、人と働くと、傷つくことは避けられない

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